「太田和彦の日本百名居酒屋」を担当している旅チャンネル、居酒屋のオヤジこと小川洋一が番組の裏話や居酒屋巡りをしている中で思ったことなどをコラムとして書き綴ります。
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東北遠征


2008/05/17 14:32
居酒屋のオヤジ
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ちょっと東北に行ってきましたので、雑感を。

ニッポン居酒屋紀行ファイナルでお世話になった青森の「ふく郎」へご挨拶。ご主人は職人肌で、愛想の一つもしゃべりませんが、仕事はたいしたもの。

最初に出てきたお通しは、大きなシャコが3匹。こんなに北でもシャコは取れるのですね。竹の子の蒸し焼きとあるので聞いてみると、根曲がり竹の子(ササダケとも言う?)のことだそう。ご主人の話によると、この地方ではモウソウダケが取れないので、竹の子と言えばこれだそうです。早速それを注文。お酒は東北泉の本醸造の燗です。シャコの荒々しい味と、竹の子のやさしい甘さが絶妙です。

メニューにマスとあるのは?と聞くと、海で取れたマスだとの事。今が旬で、川には上らないので刺身がオススメ。上品な甘さで、絶品でした。(そういえば、東京湾で取れたマスを三番瀬で食べさせてもらったことがあったっけ。東京湾でマスの刺身が食べられるとはさすがに知らなかったですが)さらに、地もとのモズクはしゃきしゃきして大変美味しい。海の流れが速いところにはえているので採るのも容易ではないらしい。やはり名店です。

次は、これも青森の回でお世話になった「六兵衛」。ただただここの貝焼きが食べたくて寄りました。他のどこの店よりシンプルな貝焼きですが、これが大変に美味しい。シンプル・イズ・ベストと言ったところでしょうか。

場所は変わって、仙台。駅前の市場を歩くと、青森で食べた竹の子を発見。ここでは月山竹の子と表記してあります(月山で取れたものなのかな?)。美味しそうなので、お土産に2束買いました。(ただ焼くだけですので、簡単。しかし、後で聞いた話ですが、この竹の子が取れるところは熊が良く出没するらしい。竹の子採りも命がけです)

その市場の奥に、仙台銀座と言う場所をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?ずっと前の記事にもちょっと書いた、仙台銀座の古い酒屋さん「佐野正酒店」がやっている「酒場さのや」にちょっと寄ろうと思ったら、唖然!なんと更地になっている!酒場どころか酒屋さんも無い。確か昭和20年代から営業されていたはず。残念です。

気を取り直して、すぐ近くの「源氏」へ。こちらは健在。5時ちょうどに引き戸を開け、カウンターの一番奥に座った。すると、すぐ続いて一人の老紳士が。彼もまた反対側のカウンターの奥に座った。お互いに燗酒をお願いし、ゆっくりグラスを傾ける、と思ったら、老紳士はほとんど一気に飲み干し、そして、さらにもう一杯。ものの15分ぐらいでお勘定して帰っていかれました。その間、女将さんと二言三言。どうも地元の有力者らしい。さすが。私もああいった粋な年の取り方をしたいものだと思うことしきり。

さて、今回仙台を訪れたのには訳が。以前、取材でお世話になった東一連鎖街の「酔亭・よっちゃん」が別の場所で新装開店したのです。新店にお邪魔する前に、東一連鎖街がどうなったか確認。仙台一の繁華街一番町三越の前には、なんと、白いフェンスが!中を覗く事もできない。もう取り壊しが始まっているようです。太田さん曰く、「日本一の飲み屋横丁」が跡形も無い。先ほどの「さのや」といい、この連鎖街といい、古くて居心地の良い場所は全滅してしまうのか?残すは文化横丁のみか。

「酔亭・よっちゃん」は、ここもそうとうに古い飲み屋小路である、伊達小路の近く。良くもこんな奥まったところに店を構えたものだ。正に隠れ家。店内は、ちょっと民芸風か?カウンターが10席ぐらいと、小上がりが3つ?小さい壁で仕切られた小上がりが良さそう。前の店から、酒も肴も文句のつけようがないが、ちょっと広くなった分だけ人も増員。厨房の中に若手の男子がもう一人。ちゃきちゃきの若い女将さんも相変わらずで、大変明るく楽しい店になったものだ。名店がひしめく仙台にあっても十分やっていけるだろう。

東京に戻る前に、もう一軒。これも、前にお世話になった「かん」。聞くと、脱サラで始めた店はもう14年になるそうです。何か飲んだことのない酒をとお願いすると、福島県末広酒造の猫魔の雫と言う酒を進められました。原酒生だけあって、とても濃い深みがある味。さらに、オリジナルの日本酒かんを、去年のものと今年のものを比べさせてもらい大満足。微妙に味が違うものです。もっと寝かせたら面白いことになりそう。

途中で、一人の若者が慌てて入ってきて、マスターと何事か相談。聞くと、仙台青葉祭りのことで、相談に来たらしい。マスターは、開店当時からこの祭りの世話役(何人かいる中の一人)を任されているとの事。じゃあと言うわけではないが、古い飲み屋街ののことについて聞いてみました。やはり、東一連鎖街の閉鎖は賛否両論だったそうで、文化横丁も再開発の話が何回か出ては消えているそうです。しかし、文化横丁は反対の方が多いらしく、しばらくは大丈夫でしょうと、心強いお返事。

帰る道すがら考えたのだが、マスターの話どおり、源氏のある文化横丁は大丈夫でしょう。なぜなら、源氏の常連さんは有力者揃いだろうから。(常連さんが有力者だから再開発を免れると言うのは、ちょっと不公平な感じはするが、逆を考えれば居酒屋文化を理解し、守ろうとする客が多い訳で、良いことなのかもしれないですね。)


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